ご承知おきの程よろしくお願い致します｜正しい敬語の意味と使い方・言い換え例を徹底解説

ビジネスメールでよく使われる「ご承知おきの程よろしくお願い致します」。

一見とても丁寧に聞こえるこのフレーズですが、「本当に正しい敬語なの？」「どんな場面で使えばいいの？」と迷う人も多いのではないでしょうか。

この記事では、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」という表現の正しい意味・文法的な解釈から、使用シーン、さらには代替表現までをわかりやすく解説します。

取引先や上司など目上の相手に使うときの注意点も具体的に紹介しますので、この記事を読めば「丁寧だけど自然」な敬語が身につきます。

明日からのビジネスメールを、よりスマートで好印象に変えていきましょう。

ご承知おきの程よろしくお願い致しますとは？正しい敬語の意味と使い方

まず最初に、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」という表現がどんな意味を持つのかを見ていきましょう。

ビジネスシーンで頻繁に登場する言葉ですが、正しい意味や使い方を理解している人は意外と少ないです。

ここでは、言葉の構成と敬語としての役割を分かりやすく整理します。

この表現の基本的な意味

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、「この件について理解しておいてください」という意味を持ちます。

つまり、相手に“内容を把握しておいてほしい”という意図を、丁寧に伝える表現です。

直接的に「理解してください」と言うよりも、やわらかく、礼儀を保った伝え方ができる点が特徴です。

「承知」「〜の程」「よろしくお願い致します」それぞれの敬語的役割

この表現は3つの部分から成り立っています。

要素	意味
承知	「知っている」「理解している」という意味を持つ謙譲語
〜の程	「〜のことを」という柔らかな表現。相手に依頼する際の丁寧語
よろしくお願い致します	依頼やお願いを伝えるときの定型的な敬語

これらが組み合わさることで、「理解のうえで対応をお願いします」という丁寧な依頼表現になります。

文全体が依頼のニュアンスを持つため、指示や命令のような印象を与えないのがポイントです。

どんなシーンで使うのが適切？使い方のポイント

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、主に以下のような場面で使われます。

場面	使用例
会議の案内	「来週の会議は10時開始です。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
締切や予定の通知	「書類の締切は来週金曜です。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
変更・注意事項の共有	「業務体制が一部変更となります。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」

特に“情報を共有しておく”場面に最適です。

ただし、相手に行動を求める場合は、もう少し明確な表現を選ぶ方が伝わりやすくなります。

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は正しい敬語？誤用ではないの？

次に、この表現が本当に「正しい敬語」として成り立っているのかを確認していきましょう。

一見とても丁寧ですが、「二重敬語なのでは？」と疑問に思う人も多いです。

ここでは、文法的な観点から詳しく解説します。

文法的な正しさの検証

結論から言うと、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は正しい敬語表現です。

「承知」は謙譲語ですが、「ご承知おき」となると相手への丁寧表現となり、尊敬語的な使い方に変わります。

つまり、敬語のバランスは崩れていません。

文法的にも、「承知」＋「おく」＋「の程」＋「よろしくお願い致します」という流れで自然に繋がる構文です。

「ご承知おきください」との違い

似た表現に「ご承知おきください」があります。

両者の違いは、依頼の“強さ”にあります。

表現	ニュアンス
ご承知おきの程よろしくお願い致します	柔らかく依頼する。配慮を求める印象。
ご承知おきください	やや事務的で、通知・連絡の印象が強い。

そのため、取引先や目上の相手に使うなら「ご承知おきの程よろしくお願い致します」がより丁寧で無難です。

相手によって使い方を変えるべき理由

敬語は「正しいかどうか」よりも、「相手にどう伝わるか」が大切です。

たとえば、社内の同僚に対してこの表現を使うと、やや硬すぎる印象を与えることがあります。

目上の相手には丁寧な印象を、社内では自然な言葉を選ぶことが、ビジネスコミュニケーションでは重要です。

シーン別「ご承知おきの程よろしくお願い致します」の使用例

ここでは、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」を実際にどんな場面で使えばよいかを、具体的な文例とともに紹介します。

ビジネスメールや社内文書など、シーンごとに微妙なニュアンスの違いがあるため、使い方を整理しておくことが大切です。

会議や予定連絡に使う場合

スケジュールや会議に関する連絡では、「確認しておいてください」という意味で自然に使えます。

状況	使用例
会議の連絡	「来週のプロジェクト会議は10時より行います。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
出張の案内	「〇〇部の出張日程が確定しました。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」

特に会議案内では、相手に「参加確認を求めずに知らせるだけ」の場合に最も適しています。

社内連絡・上司への報告メール例

社内の上司やチームメンバーへの報告にも使えますが、相手との関係性に応じて表現を調整するのがコツです。

場面	例文
上司への報告	「顧客対応の件、予定通り進行しております。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
チーム内共有	「次週からの担当変更について共有いたします。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」

上司や役職者に対して使う場合は、少し硬めの印象があるため、報告や通知の文末に添える形が自然です。

取引先や顧客に使う場合の文例

外部とのやり取りでは、特に慎重な言葉遣いが求められます。

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、相手への敬意を保ちながら事務的連絡を行う際に最適です。

シーン	使用例
納期変更の通知	「納品日が変更となりました。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
新制度の案内	「新しい取引ルールを導入いたしました。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」
価格改定の連絡	「来月より価格改定を実施いたします。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」

ただし、相手に「了承を求める」場合は、別の表現（例：「ご了承の程お願い致します」）を使うのが適切です。

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」の代替表現一覧

ここでは、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」を少し言い換えて使いたいときに役立つ、代替表現を紹介します。

文の目的や相手の立場によって、言葉を柔らかくしたり、より丁寧にすることが可能です。

柔らかく伝えるときの言い換え

社内やフラットな関係性であれば、もう少しカジュアルな表現を使っても問題ありません。

表現	ニュアンス
ご確認いただけますと幸いです	やわらかく依頼する。社内や同僚向けに最適。
ご確認のほど、お願いいたします	フォーマルすぎず、一般的に使える万能表現。
ご確認くださいませ	やや丁寧。社外にも無難に使える。

特に「ご確認いただけますと幸いです」は、柔らかい依頼として多くのメールで使われています。

より丁寧に伝える場合の表現

取引先や顧客など、特に丁寧さが求められる相手には、以下のような表現が効果的です。

表現	意味・使用例
どうぞご理解賜りますようお願い申し上げます	重要事項の伝達やお詫びの文脈に向いている。
ご配慮のほどお願い申し上げます	配慮・注意を求めるときに使う丁寧な依頼。
ご了承のほどお願い致します	相手の理解や同意を求める際に使う。

“理解を求める”のか“行動を求める”のかによって、言葉を選ぶことが大切です。

カジュアルな社内向けの代替表現

社内メールやチャットなど、フラットなコミュニケーションの場では、よりシンプルに伝える方が自然です。

表現	ニュアンス
念のため共有いたします	軽く知らせる程度。社内連絡に最適。
ご参考までにお伝えします	必ず読んでほしいわけではない軽い伝達。
ご確認お願いします	シンプルで柔らかい。親しい相手向け。

ただし、上司や取引先へのメールには避け、あくまで社内・同僚レベルでの使用にとどめましょう。

相手との距離感に合わせた言葉選びが、信頼関係を築くうえで重要です。

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」を避けるべきケース

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は丁寧で便利な表現ですが、すべての場面で使えるわけではありません。

ここでは、使うと不自然になったり、誤解を招くおそれのあるケースを紹介します。

相手によっては不自然に感じられる理由

この表現は敬語の中でもかなりフォーマルです。

そのため、社内の同僚や部下など、フラットな関係性の相手に使うと「よそよそしい」「距離を感じる」と思われることがあります。

また、チャットやカジュアルなやり取りでは、堅苦しい印象になりかねません。

相手	使用可否	推奨される表現
上司・取引先	◎	「ご承知おきの程よろしくお願い致します」
同僚・チーム内	△	「ご確認お願いします」「共有いたします」
部下・後輩	×	「確認しておいてください」などの簡潔な表現

相手との関係性に合わせて言葉を変えることが、信頼されるビジネスメールの基本です。

誤解を招かないための注意点

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」は、あくまで“情報の共有”を意味します。

したがって、「了承」や「承諾」を得たい場合に使うのは誤りです。

たとえば、取引条件の変更や価格改定など、相手の同意が必要な場合には「ご了承の程お願い致します」や「ご確認いただけますと幸いです」を使いましょう。

誤用例	修正版
「契約内容を変更しました。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」	「契約内容変更につき、ご了承の程お願い致します。」
「納期を延長します。ご承知おきの程よろしくお願い致します。」	「納期延長につき、ご理解賜りますようお願い申し上げます。」

相手に行動を求める場合は、この表現を避けるのが無難です。

正しい表現を選ぶための判断基準

「伝えたい内容」がどのタイプにあたるかを判断すると、自然に適切な表現が選べます。

目的	適した表現
相手に知っておいてほしい	ご承知おきの程よろしくお願い致します
相手の理解・了承を求めたい	ご了承の程お願い致します
相手に対応・行動をお願いしたい	ご対応の程お願い申し上げます

「知らせる・理解を求める・行動を促す」のどれなのかを見極めて使い分けることが、正しい敬語の第一歩です。

まとめ：状況に応じた敬語選びで印象をアップ

ここまで、「ご承知おきの程よろしくお願い致します」という表現の意味や使い方、代替表現を見てきました。

最後に、この記事のポイントを整理しておきましょう。

「ご承知おきの程よろしくお願い致します」を使うときの基本ルール

この表現は、相手に「理解しておいてほしい」という気持ちを丁寧に伝える言葉です。

使うときは、以下のルールを意識しましょう。

• 取引先や上司など、目上の相手に対して使う
• 了承や同意を求める場合には使わない
• 社内ではもう少し柔らかい言葉に置き換える

正しく使えば、相手に失礼のないスマートな印象を与えられます。

代替表現との使い分けで円滑なコミュニケーションを

敬語は場面や相手によって微妙に使い分ける必要があります。

たとえば、顧客には「ご了承の程お願い致します」、社内では「ご確認お願いします」など、柔軟に切り替えることが重要です。

“誰に対してどんな目的で伝えるのか”を意識して使い分けることで、言葉の印象がぐっと良くなります。

丁寧すぎず、でも失礼にもならない――そんなバランスを意識した敬語選びを心がけてみてください。